・鹸化価とは油脂を鹸化(けんか:石けんになること)するための量で、単位は1000gの油脂を液体石けんにするために必要な苛性カリ(苛性ソーダではありません)の量です。使用するのは苛性ソーダです。
これに40/56.1(もしくは0.7142)を掛けると、1000gの油脂を固形石けんにするために必要な苛性ソーダの量が出ます。(苛性ソーダ量へ換算)
更にこれを1000で割ると 1gの油脂を鹸化するために必要な苛性ソーダ量が出ます。
・例えば、鹸化価表を見ると
ヤシ油の鹸化価は 258 パーム油は 200 です。
258 とは1000gのヤシ油を液体石けんにするために必要な苛性カリ(苛性ソーダではありません)は258gという意味です。
・苛性ソーダは苛性カリよりもアルカリ分が強く、258を 56.1 で割り、 40を掛けます。(苛性ソーダ量へ換算)
258(g)÷56.1×40÷1000 = 0.184(g) ・・・ ヤシ油1gを鹸化する苛性ソーダのg数。
200(g)÷56.1×40÷1000 = 0.143(g) ・・・ パーム油1gを鹸化する苛性ソーダのg数。
・ヤシ油200g パーム油400g を使って 石けんを作る場合の苛性ソーダ総量は
0.184(g)×200 = 36.8(g)
0.143(g)×400 = 57.0(g)
36.8(g)+57(g)= 93.8(g) ・・・ 苛性ソーダの総量
・苛性ソーダを溶く水の量は油脂総量の37% (29%〜37%であればよい)
総油量(200g+400g)×37% = 222g(222cc) ・・・ 水の量(ccまたはg)
※水分が多い場合は、どちらかといえば変形しやすく、乾燥に時間がかかります。
・222g(222cc)の精製水に93.8gの苛性ソーダを溶きます。
<重要付帯事項>
(1)
・どの油脂も天然のために鹸化価に2%〜5%のブレがあります。
私共の鹸化表に掲載しています鹸化価はその中間値です。
しかし、ブレを考慮すると上の計算式で計算した場合に数パーセント苛性ソーダが多いことがありますので、
苛性ソーダの量を5%減らすことが安全です。
・上で計算した苛性ソーダの総量に95%をかけます。
180g×0.95 = 171g ・・・・・ 安全な苛性ソーダ量
(2)
・このように苛性ソーダを減らして、石けん内の油脂のバランスをとることが出来ます。
これを利用して、石けん内に油分を多く残すことが出来ます。
苛性ソーダ総量に 95%〜85%かける範囲でします。
85%ではしっとりタイプ
90〜95%ではさっぱりタイプ
さっぱりタイプは乾燥肌には向かないと思われますが、乾燥肌でも、さっぱりタイプは問題なく使えます。
(3)理科の授業では、水に苛性ソーダを入れると習いましたが、この方法では水がはねて危ないことがあります。
水がはねないために、逆の方法を私はしています。
(4)苛性ソーダ水をガラスビンに作った場合、温度を下げようとして、急激に水にビンを付けると、割れることがありますので、注意!!
さます場合は、自然に冷めるまで置いておくか、ぬるま湯につけてから徐々に冷水を加えてさましてください。
(5)何かのことでどうしても苛性ソーダ水を捨てなければならなくなった場合は、そのまま流さないでください。
必ず、バケツなどの大きな容器を用意して、その中で更に水を加えて苛性ソーダ液を何倍にも薄めてから、クエン酸(苛性ソーダと同グラム)を
少しずつ加えて、中和させて流してください。流した後もしばらく水を流してください。
手間を省いてクエン酸を苛性ソーダ水に一気にいれると、沸騰して危険ですのでおやめください。
(6)苛性ソーダは濡れた手で触ると、その部分がぬるぬるとします。ひどい場合は地肌がピリピリしてきます。クエン酸水でよくもみ、
石けんでよく洗ってください。目に入った場合はすぐに目を洗い、お医者様に診てもらってください。
(7)苛性ソーダは子供の手の届かない所に保管してください。
(8)苛性ソーダは湿気を吸いやすいので、必ず密閉のこと。
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